顕微授精(ICSI法)で生まれた子ども(男子)の精子に問題があるのか?

顕微授精(ICSI法)で生まれた子ども(男子)の精子に問題があるのか?

2016年10月9日のYahooトピックスに、

男性不妊のため不妊治療をして、顕微授精で生まれた子ども(男の子)も、将来的に一般男性と比べて精子の濃度が薄かったり、運動精子数が少なかったりする、という毎日新聞の記事が掲載されました。

このようなニュースが出て、夫婦で選択した不妊治療であっても、「これで良かったのかな?」と不安になる気持ちがあると思います。

この記事は本当なのかな?と思ったので調べてみました。

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3つのニュースがありました

毎日新聞の記事

記事名:<顕微授精>子も精子に問題…濃度薄く不活発 ベルギー調査

2016年10月9日配信

BBCニュースJAPANの記事

記事名:生殖補助治療を受けた男性の息子 同じ問題を受け継ぐ可能性

2016年10月7日配信

生殖補助医療を受けた男性の息子は精子の質が低いことが、ベルギーのブリュッセル自由大学の研究者らによる調査で明らかになった。研究結果は英科学誌ヒューマン・リプロダクションに掲載された。

BBC NEWSの記事

記事名:Boys born to fathers who needed help conceiving have poorer sperm quality as adults than peers conceived without help, a study suggests.

2016年10月6日配信

Boys born to fathers who needed help conceiving grow up to have poorer sperm quality than peers conceived without help, a study has found.

読み比べてみました

イギリスと日本のBBCニュースを読み比べ

まず、元ネタは、イギリスのBBC NEWSです。

なので、毎日新聞だけではなく、BBCニュースJAPANの記事も読むことをオススメします。

イギリスのBBC NEWSの記事では、「Human Reproduction」というジャーナルで、2016年10月5日に発表された論文が題材にされています。

Semen quality of young adult ICSI offspring: the first results

F. Belva, M. Bonduelle, M.Roelants, D. Michielsen, A. Van Steirteghem, G. Verheyen, and H. Tournaye

DOI: 10.1093/humrep/dew245

STUDY QUESTION. What is the semen quality of young adult men who were conceived 18–22 years ago by ICSI for male infertility?SUMMARY ANSWER. In this cohort of

イギリスのBBC NEWSでは、

  • 顕微授精で生まれた18歳から22歳の54人の男性と、同年代の57人の男性に対して調査をした。
  • 顕微授精で生まれた男性群の方が、精子濃度が半分だった。
  • 顕微授精で生まれた男性群の方が、総精子数と活発に動く精子が半分だった。
  • 顕微授精で生まれた男性群は、精子1ml中の精子数が1500万未満となる確率が3倍高かった。
  • 顕微授精で生まれた男性群は、総精子数が3900万未満となる確率が4倍高かった。

ということが書かれています。

しかし、この論文を発表した研究チームのA. Van Steirteghem教授は、

精子の質の問題が遺伝すると言われてきたことをテストする最初のチャンスだった。

Prof Andre Van Steirteghem, who led the study, said it had been the first chance to test the long-held theory that sons would inherit sperm quality issues.

と言っています。(と私は思います。)

これが、BBCニュースJAPANの記事では、

精子の質の問題は親子間で遺伝すると長年言われてきたが、今回初めてその説が検証できたと研究主導者のアンドレ・ファン・スティールトゲーエム教授は語った。

となっています。

test = 検証できた と訳されているので、「検証できた」には、「明らかになった」という意味まで含まれてしまっている気がします。

あくまで、A. Van Steirteghem教授は、「初めて研究したよ!」ということが言いたかったのではないかなぁと推察します。

ただし、私は英語の専門家ではないのでニュアンスまでは分かりません。

私見が入ってしまっている可能性もあります。

エジンバラ大学のリチャード・シャープ教授は、父親の男性不妊が「遺伝」するのかは明らかではないと言っていますが、顕微授精は男性不妊の治療ではなく、問題を回避して、次の世代に残している、とも言っています。

シェフィールド大学のアラン・ペイシー教授は、20年前は、親たちの不妊の問題を息子も同様に持っていて、息子も顕微授精が必要になるかもしれない、と伝えていたが、全員がそうなる、ということではないことを示している、と言っています。

結局、このイギリスのBBC NEWSでは、私の感じたところによると、顕微授精で生まれた子どもが大人になって、子どもを持とうとするときに、

  • 精子の質はどうなっているのか?
  • 精子の質が悪いことが遺伝するのか?

という研究が始まったことをお知らせするニュースだった、と思います。

確かに、今回テーマになった論文では、顕微授精で生まれた男性の方が精子の質が悪い、という結果でした。

しかし、それは、遺伝かもしれないし、遺伝じゃないかもしれない。

なぜ、精子の質が悪かったのか?までは、誰も分からないのです。

今回の調査対象に選ばれた顕微授精の人54人、顕微授精ではない人57人が

偶然、顕微授精の人が精子の質が悪かった、という結果になった可能性もあります。

毎日新聞は何を伝えたかったのかを考えてみました

上で書いてきたように、遺伝する、とまでは分かっていません。

ですが、毎日新聞では、

1992年に始まった顕微授精で生まれた子どもたちは近年、世界で成人期を迎えているが、男性不妊の原因が次世代に引き継がれることが確認されたのは初めて。

と、あたかも「引き継がれる」という単語で、遺伝するかのように書かれています。

コメント欄にも、「やっぱり遺伝するのか」とか「遺伝するのが当たり前!」というコメントがたくさんありました。

科学では、断言するのはとっても難しいのです。

研究を積み重ねて、さらに積み重ねて、やっと断言できるものなのだと思うのですけどね。

毎日新聞で言いたかったことを考えてみました。

もしかすると、日本では、ベルギーのように、顕微授精で生まれた子どもたちを長期的に追跡調査・研究していく、という環境が整備されていない、というところな気がしました。

日本には、新しい治療や健診などを始めても、蓄積していくデータベースがないのですよね。

元の論文を読んでみました

研究チームは、この研究結果から言えることには限界がある、と言っています。

まず、調査した人数が少ないこと、

また、顕微授精でも色々な人(顕微授精が適応となった理由が様々)がいること、

などの影響を排除できていないそうです。

個人的には、ストレスや運動、デスクワークが多いなどの生活習慣を含めた解析をしていないことが気になりました。

例えば、この研究では、顕微授精で生まれた男性群の方が、飲酒量が多かったですし、ストレスに関しては質問項目にはなかったようです。

BBCニュースの記事でも取り上げられていたように、精子の質を予測するのは、父親からの遺伝だけではなく、それ以外の要因も複雑に関係している可能性があるのです。

今後は、生活習慣も含めた解析をする研究も出てくるように思います。

日本で取り上げられたこちらの顕微授精のニュースを読んだり、見たりして、不安に思った方も多いのではないかなと思います。

顕微授精をしているカップルは、とても繊細な気持ちのはずです。

事実だけを知りたいと思うのですが、少し盛られているニュースがあるのは、本当に煩わしいです。

不妊治療をすると◯◯になりやすい、◯◯な子どもが生まれる、等々、調べたらたくさん出てきます。

でも、そこで不妊治療をやめるのか、続けるのか、出来るだけ盛られていない、そのままの情報を収集しながら、夫婦で話し合うのが良いのではないかと思います。

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